21年1月:学校法人A事件(控訴審):使用者側弁護士の労働法メルマガ

今回のメルマガ【2021年1月号】目次

1-1 TIT メルマガ裁判例動画解説:No.520211月号

(労務×学校法人×有期契約×同一労働同一賃金×夜間手当)

 大学夜間担当手当の不支給が、労契法20条等に違反しないとされた例


動画(無料)に、興味のある使用者側の方々は、⇊⇊⇊をご参照下さい。

1 大学夜間担当手当の不支給が、労契法20条等に違反しないとされた例


【判例】

 

事件名:学校法人A事件(控訴審)

判決日:大阪高判令和2年1月31日

 

 

【事案の概要】

 

被控訴人の経営するA大学の嘱託講師であった控訴人は、被控訴人に対し、夜間の授業を担当したにもかかわらず、A大学の専任教員が夜間の授業を担当した場合に支給される「大学夜間担当手当」(本件手当)が平成27年度に支給されなかったのは、平成30年法律第71号による改正前の労働契約法(以下「労契法」という。)20条又は同改正前の短時間労働者の雇用管理の改善等に関する法律(以下「パートタイム労働法」という。) 8条(以下労契法20条とパートタイム労働法8条を併せて「労契法20条等」ということがある。)に違反するなどと主張して、本件手当相当額、慰謝料及び弁護士費用、並びに遅延損害金の支払を求めた。

 

授業時間一覧(ハイライト箇所(太字)が夜間)

 

1講時

AM9:00~AM10:30

2講時

AM10:45~PM0:15

3講時

PM1:10~PM2:40

4講時

PM2:55~PM4:25

5講時

PM4:40~PM6:10

6講時

PM6:25~PM7:55

7講時

PM8:10~PM9:40

 

控訴人の担当授業講時(ハイライト箇所(太字)が夜間)

 

平成26年度

平成27年度

春学期

秋学期

春学期

秋学期

4講時以前の講義を担当

4講時以前の講義を担当

月:1、2、4講時

水:3、4講時

土:6、7講時

月:1、2、4講時

水:3、4講時

土:6、7講時

 

 

 

【判旨(「」内は判旨の一部抜粋。下線部、①②などの数字、装飾等は引用者による。)】

 

 

「2 争点1(本件手当の不支給が労契法20条等に違反するか)について」

 

「⑴」

・・・略・・・

「⑵ 嘱託講師である控訴人に対する本件手当の不支給が不合理と認められるものであるかどうか

 

 

ア 被控訴人における専任教員と嘱託講師の職務(ママ)及び責任の内容

 

専任教員は、授業以外に学生の指導、研究活動及び大学行政というより広い職務への関与が求められ、その結果、日中及び夜間の時間の多くを事実上多く拘束され、かつ、授業に関しても時間割で示した内容の授業を学生に提供することについて重い責任を担うという点で、割り当てられた授業を担当するのみでそれ以外の職務への関与を求められることのない嘱託講師との間で、職務の内容(業務の内容及び当該業務に伴う責任の程度) について大きな相違がある。」

 

 

「イ 本件手当の趣旨、性質」

 

「本件手当は専任教員が日中に広範で責任の重い職務を担当しながら、更に6講時以降の授業を担当することの時間的拘束や負担を考慮した趣旨及び性質の手当であると認められる。」

 

 

「ウ」 

・・・略・・・

 

 

「エ 労契法20条にいう「不合理と認められるもの」とは、有期契約労働者と無期契約労働者の労働条件の相違が不合理であると評価できるものであることをいうと解する」。「パートタイム労働法8条と労契法20条の規定の内容と文言が類似していることからすれば、パートタイム労働法8条にいう「不合理と認められるもの」も上記と同様に解する」。

「上記アで検討した被控訴人における専任教員と嘱託講師との間の職務の内容の相違並びに上記イ、ウで検討し、認定した本件手当の趣旨、性質のほか」「担当する授業数、時間に応じてこれに加算されるものであって、本件手当として支給される月額も著しく多額になるものではないこと及び嘱託講師が夜間の授業を担当することによって、当該嘱託講師の担当総授業数が増えた場合には」「嘱託講師の担当授業数の増加に伴う時間的拘束や負担に対しては本俸への加算という形で相当の配慮がされているといえることをも併せ考慮すると、上記労働条件又は待遇の相違が不合理と認められるものであると評価することはできないというべきである。」

 

 

【結論】

「したがって、」「控訴人の本件請求は理由がない。」

 

 

【コメント】

 

本件では、

  「本件手当の趣旨、性質」につき、日中での責任の重い職務を担当していること等を勘案すべきこと、

  本件手当の支給額が著しく多額でないこと、

  有期社員に対して「相当の配慮がされている」こと

などから、不合理性が否定されており、使用者に有利な裁判例ですので、ご紹介します(但し、指針、及び(上記裁判例よりも後の裁判例である)日本郵便(大阪)事件最高裁判決を前提とすると、上記のような夜間手当について、使用者が敗訴する可能性がありますので、個別の事案に応じた判断を要する点に、注意すべきです)。




なお、本裁判例についての動画配信にご興味のある方(経営者、社労士先生など)は、

https://www.itm-asp.com/form/?3163

から、ご視聴下さい。

(配信期限は、2021年2月末(無料)です。期限経過後の視聴にご興味のある方は、rt@tamura-law.comまで、お問い合わせ下さい)




★本メルマガは、当事務所所属の弁護士の(使用者側からの)私見を示したものです。そのため、個別具体的な事実が異なれば、結論は異なります。そのため、個別案件については、事前に外部専門家(弁護士や社労士など)に相談して、当該専門家の助言に従って対応して下さい。  本メルマガの内容に基づいて行動した結果、何等かの損害・損失が発生したとしても、一切賠償等には応じかねますので、あらかじめご了承下さい。

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