無期転換時の賃下げが法的に無効になった
ケースを紹介し、企業の対応策を解説します。
第1 事案の概要と裁判所の判断
この事案では、
❶無期転換と同時に、法人Aが、当該社員Bを、
➋(海外出張のある)業務から(海外出張のない)業務に配転したこと
❸賃下げを行ったこと
の有効性が争点となりました。
結論は、
➋につき、法人Aの勝訴、
❸につき、法人Aの敗訴=月36万円の差額賃金の支払い、
でした。
なお、
㋐法人Aの契約社員就業規則には、無期転換した職員には法人の就業規則を適用する旨の規定があり、
㋑その就業規則と賃金規程は職員の賃金について、「職務内容、技能、勤務成績、年齢等を考慮して各人別に決定する」と定めてありました。
注目すべきは、
裁判所が
⑴ 無期転換申込みによって、(契約期間を除いて)前年度の有期雇用契約と同一の労働条件の契約が成立していること
⑵ 賃金規程の「各人別に決定する」との文言は、一度決まった賃金額を、異動や業務内容の変更によって変更することまで含むとは解釈できない
と判断していること、
です。
(以上につき、令和6年1月10日、東京地裁判決に関する労働新聞社の記事:https://www.rodo.co.jp/news/171875/より、要約)
第2 企業の対応策
賃下げを有効に行うためには、
1、就業規則や賃金規程を整備すること
2、不利益変更に配慮すること
などが、必要です。
詳細については、(東京地判 令和6年1月10日と異なる裁判例ですが)動画解説しています。
動画解説はこちら
https://youtu.be/A-dyF98iPys
企業としては、賃下げが有効になるよう、上記動画解説を参考にしつつ、事前準備をしっかり行った上で、実行すべきです。